≫ 体・心・経営・人生を横断する知見を届ける、医師の個人メディアです

お酒の適量とは?アルコールの1日の許容量はどのくらい?男女別の目安

お酒の適量とは?アルコールの1日の許容量はどのくらい?男女別の目安

こんにちは。
みちのくDr.です!

本日は、お酒の適量と1日のアルコール許容量について紹介します。

健康診断で「お酒は適量に」と言われたり、自分の飲酒量が気になったりすることがありますよね。

ただ、本記事を読み進める前に、2023年以降の最新エビデンスについて一つ知っておいていただきたいことがあります。

前提:WHO 2023「安全な飲酒量は存在しない」

2023年1月、WHO(世界保健機関)は「健康に関して安全な飲酒量は存在しない」と正式に発表しました(Lancet Public Health 2023)。

アルコールはIARC(国際がん研究機関)の「グループ1(確実な発がん物質)」に分類されており、これはタバコやアスベストと同じカテゴリです。

「少量なら健康にいい」とされてきたJカーブ説は、2022年以降の研究で否定されています。

つまり、医学的に最も安全なのは「飲まないこと」です。

ただし、現実的に飲酒を楽しむ方にとっては、日本の公的機関が示す「目安」を知り、できるだけリスクを抑えた飲み方を選ぶことが重要です。

日本の公的な目安:厚労省ガイドライン2024

2024年2月、厚生労働省は「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。

区分1日の純アルコール量リスク
生活習慣病リスクを高める飲酒量(男性)40g以上高血圧・脂質異常症・肝疾患リスク増
生活習慣病リスクを高める飲酒量(女性)20g以上同上(女性は低い基準)
節度ある適度な飲酒(男性)20g以下リスクを抑えたい人の目安
女性・高齢者・若年者さらに少なめ体質で分解力が低い

以前から使われている「節度ある適度な飲酒:純アルコール20g/日」は、健康障害リスクを最小化するための目安として維持されています。

ただし、「20g以下なら安全」という意味ではなく、「リスクを比較的抑えられる量」という位置づけです。

男性と女性で違う1日のお酒の目安

男性と女性で、代謝能力・体重・体内水分量が異なるため、適量の目安も異なります。

性別許容量の目安理由
男性純アルコール20g以下標準的な代謝能力
女性純アルコール10g以下男性より分解能力が低い
高齢者(65歳以上)さらに少なめに代謝能力の低下
ALDH2欠損型極めて少なめ、または避けるお酒で顔が赤くなる体質

純アルコール10g・20gに相当するお酒の量

お酒10gに相当20gに相当
ビール(5%)中瓶0.5本・缶350ml 0.7本中瓶1本・缶500ml 1本
日本酒(15%)約0.5合約1合(180ml)
ワイン(12%)約100ml約200ml
焼酎(25%)約50ml約100ml
ウイスキー(40%)約30mlダブル1杯(60ml)
酎ハイ(7%)350ml缶 約0.4本350ml缶 1本

参考:e-ヘルスネット「飲酒のガイドライン」、厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」2024

日本人の約4割は「特に注意が必要」な体質

日本人の約40〜45%は「ALDH2欠損型(rs671)」という遺伝的特徴を持っています(Matoba et al. 2024 PMID: 38277453)。

お酒で顔が赤くなる・すぐ酔う人は、この体質の可能性が高いです。

ALDH2欠損型の方は、少量の飲酒でも食道がん・頭頸部がんのリスクが顕著に上昇することが確認されています。

特徴推奨対応
飲酒で顔が赤くなる可能な限り避ける
少量でも頭痛・動悸体質的にお酒が合わない
家族に同じ特徴の人が多い遺伝的な可能性大

「体質に合わないお酒を頑張って飲む」ことは、健康リスクを高める最悪の選択になります。

飲酒量が増えるとどのくらいリスクが上がるか

疾病リスク上昇の傾向
高血圧1日20g増で有意に上昇
脂肪肝・肝硬変男性40g・女性20g以上で顕著
食道がん・口腔咽頭がん少量でも上昇(ALDH2欠損型で顕著)
乳がん(女性)1日1杯でもリスク上昇(「安全量」なし)
脳出血飲酒量に比例して上昇
痛風・高尿酸血症ビールで特に上昇

「適量」というより、「できるだけ少ないほど良い」というのが現代医学の結論です。

お酒を楽しく続けるための工夫

お酒を完全にやめなくても、工夫次第でリスクを下げられます。

工夫効果
週に2日は休肝日を設ける肝臓の回復時間を確保
食事と一緒に飲む血中アルコール濃度の急上昇を抑制
水(チェイサー)を挟む脱水予防・酔い抑制
ノンアルコール飲料も選択肢に味覚的な満足感を得ながら総量を減らす
ビールより蒸留酒で量を少なくプリン体や糖質も減らせる
寝る前2〜3時間は飲まない睡眠の質を守る

医師に相談すべきサイン

以下の状況では、医療機関への相談をおすすめします。

状況推奨行動
健康診断で肝機能異常(γ-GTP・AST・ALT)かかりつけ医に相談
毎日飲まないと落ち着かない依存の兆候、早めに内科受診
家族に「飲みすぎ」と言われる自覚の薄い依存の可能性
飲酒後の記憶が抜けることがある急性アルコール中毒のリスク
飲酒量が年々増えている耐性形成の可能性

相談先の優先順位

状況おすすめの相談先
かかりつけ医がいるかかりつけ医に相談
会社に産業医あり会社の産業医に相談
いずれもいない内科・消化器内科
依存が強く自力で減らせない心療内科・精神科・アルコール依存症専門外来

まとめ

本日は、お酒の適量と1日のアルコール許容量を、2024-2026年の最新エビデンスとともに紹介しました。

2026年時点で大切なポイント

  • WHO 2023:医学的に安全な飲酒量は存在しない
  • 日本の目安は「節度ある適度な飲酒:純アルコール20g/日(男性)・10g/日(女性)」
  • 2024年厚労省ガイドラインは「40g/日(男性)・20g/日(女性)以上で疾病リスク増」と明示
  • 日本人の約40%はALDH2欠損型で、少量でも食道がんリスクが顕著
  • 「適量=健康に良い」ではなく「リスクを抑えられる量」
  • 完全にやめる必要はないが、「少ないほどよい」が基本

「自分は今、コントロールして楽しめているか、依存的に飲んでいないか」という視点も大切です(詳細は「断酒のメリット7つ」の記事を参照)。

それでは今日も、良い筋トレライフを!

参考文献

  • Anderson BO et al. Health and cancer risks associated with low levels of alcohol consumption. Lancet Public Health. 2023;8(1):e6-e7. PMID: 36603913
  • Matoba N et al. ALDH2 rs671 and cancer risk in Japanese. Sci Adv. 2024. PMID: 38277453
  • 厚生労働省. 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン. 2024年2月
  • Zhao J et al. Alcohol and mortality meta-analysis. JAMA Netw Open. 2023. PMID: 36951861
  • GBD 2020 Alcohol Collaborators. Optimal alcohol consumption. Lancet. 2022. PMID: 35843246
  • e-ヘルスネット「飲酒のガイドライン」