つみたてNISAとNISA、投資信託のみならどっちがオススメ?1

NISAとつみたてNISA、資産運用する上でどっちを選ぶか迷う方は多いと思います。

この記事では他のサイトではあまり比較されていない点について言及し、これから選択する方、すでに選択していてこれから移行を検討している方の参考になる情報を提供します。

ざっくりと、つみたてNISAは投資信託を選択し、毎年40万円まで20年間、最大800万円非課税で運用することができます。最大のメリットは20年間の複利を享受することができることでしょう。

一方、NISAは上場株式・つみたてNISAでは選ぶことができない投資信託を選択でき、毎年最高で120万円まで5年間、最大600万円非課税で運用することができます。5年間の複利しか得ることができない変わりに投資の選択肢が拡がることがメリットです。

また、NISAにはロールオーバーという制度があり、5年経過後に拠出額と運用益を6年目の非課税口座に移動することもできます。
(ロールオーバーについては「つみたてNISAとNISA、投資信託のみならどっちがオススメ?2」(coming soon!!)で説明します。)

※2024年から現在のNISAから新・NISA制度に移行します。
新・NISA制度についてはこちらをご参照ください。
(新・NISA制度についても近日記事を公開!!(coming soon!!))

他のサイトでは主に、

  1. 上場株式などの運用もしたい・短期投資をするならNISA
  2. 長期積立投資をするならつみたてNISA
  3. どちらの利点も活用するなら夫婦でそれぞれNISAとつみたてNISAの両方の口座をもつ

とオススメする記事がほとんどです。

筆者はここである疑問を抱きました。

それは②の「長期積立投資をするならつみたてNISAがおすすめ」というのは果たして本当か?

つみたてNISAと同じ条件でNISAを運用した場合、最終的な利益はNISAの方が大きいのではないか?

と直感的に感じたことです。あくまで直感であり直感があたる確率も外れる確率もおよそ50 %程度、いや、おそらくもっと低いでしょう。

この疑問を解決する情報を見つけることができなかったため、自身で仮説を立て検証しました。

検証にあたり、Excel for Microsoft 365を使用し計算およびグラフを作成しました。

仮説と条件

仮説

「NISAでは年間120万円、つみたてNISAでは年間40万円、拠出可能額満額を投資信託に投資した場合、最終的な利益はNISAの方が大きい!」

上記の仮説が真であるか否かについて検証します。

NISAとつみたてNISAでは制約が異なるため、下記のような条件を設定します。

  1. 投資対象はつみたてNISAで選択できる投資信託のみに限り、複数の投資信託に投資する場合はポートフォリオのバランスは同じ。
  2. 運用利回りはNISAとつみたてNISAで同じ。(同じ投資信託に対して同じ割合で拠出しているため①の条件のみでも同じです。)
  3. それぞれ拠出は毎日・毎月など同じ頻度で拠出する。
  4. 3.の条件を踏まえ、検証では運用利回りを毎年年始に拠出すると近似して計算する。
  5. NISAは2028年以降も新・NISA制度が存続すると仮定する。
  6. つみたてNISA制度は2037年までだが、計算の都合上これから20年間拠出可能と仮定する。

また、NISAの制限を強くするため、さらに以下の条件を付します。

  1. NISAのロールオーバーは適応せず、5年後に売却または課税口座に移す。
  2. NISAは2024年度に新・NISAに以降し最大拠出可能額が122万円になるが、現行の制度の最大拠出可能額120万円を年間の拠出額とする。

NISAのメリットの一つであるロールオーバーを制限していますが、後にこの制限を解除した検証も行います。

それでは、仮説を検証していきましょう。

その① 運用利回り1%の場合

20年間の運用利回りが1 %と想定するのは非常にシビアな条件です。

過去20年間でここまで厳しい運用利回りだったことは稀ですが検証していきます。

つみたてNISA

  • 毎年拠出額:40万円
  • 積立期間: 20年
  • 運用利回り:1 %

計算

  • 元本+運用益合計

$$\small\sum_{k=1}^{n=20}{k = 40\times 1.01^n}$$

  • 非課税運用益=(元本+運用益合計 ) \(-\) 8,000,000 円(元本)
  • 非課税効果 = 非課税運用益 \(\times\) 20.315 %(課税)

結果

  • 元本+運用益合計  8,895,678 円
  • 非課税運用益     895,678 円
  • 運用益の非課税効果  181,957 円

となります。

次にNISAの場合です。

NISA

  • 毎年拠出額:120万円
  • 積立期間: 20年
  • 運用利回り:1 %

計算

  • 元本+運用益合計=

\(\small15 \times 120 \times 1.01^5\) + \(\small\sum_{k=16}^{n=20}{k = 120\times 1.01^{n-15}}\)

  • 非課税運用益=(元本+運用益合計 ) \(-\) 24,000,000 円(元本)
  • 非課税効果 = 非課税運用益 \(\times\) 20.315 %(課税)

結果

  • 元本+運用益合計  25,100,599 円
  • 非課税運用益     1,100,599 円
  • 運用益の非課税効果  223,587 円

となります。

以上から運用利回りが1 %と仮定した時の非課税効果の大きさは

つみたてNISA 181,957 円 < NISA 223,587 円

となり、NISAに軍配が上がります。

これは運用利回りが1 %だとつみたてNISAの最大のメリットである複利が20年間でも1.22倍にしかならず、NISAの年間の拠出金額が120万円とつみたてNISAの40万円よりも大きいことが理由として挙げられます。

その② 運用利回り3%の場合

20年間の運用利回りを3 %と想定するのはインデックス投資では悲観的です。銀行などが顧客の資金を運用する際にリスクをある程度加味した際に使用されることが多いです。

今回は堅実に3 %で運用した際の非課税効果について比較します。

つみたてNISA

  • 毎年拠出額:40万円
  • 積立期間: 20年
  • 運用利回り:3 %

計算

  • 元本+運用益合計

$$\small\sum_{k=1}^{n=20}{k = 40\times 1.03^n}$$

  • 非課税運用益=(元本+運用益合計 ) \(-\) 8,000,000 円(元本)
  • 非課税効果 = 非課税運用益 \(\times\) 20.315 %(課税)

結果

  • 元本+運用益合計  11,070,594 円
  • 非課税運用益     3,070,594 円
  • 運用益の非課税効果  623,791 円

となります。

次にNISAの場合です。

NISA

  • 毎年拠出額:120万円
  • 積立期間: 20年
  • 運用利回り:3 %

計算

  • 元本+運用益合計=

\(\small15 \times 120 \times 1.03^5\) + \(\small\sum_{k=16}^{n=20}{k = 120\times 1.03^{n-15}}\)

  • 非課税運用益=(元本+運用益合計 ) \(-\) 24,000,000 円(元本)
  • 非課税効果 = 非課税運用益 \(\times\) 20.315 %(課税)

結果

  • 元本+運用益合計  27,420,025 円
  • 非課税運用益     3,429,025 円
  • 運用益の非課税効果  696,606 円

となります。

以上から運用利回りが3 %と仮定した時の非課税効果の大きさは

つみたてNISA 623,791 円 < NISA 696,606 円

となり、1%の運用利回りの時と比べてつみたてNISAが追い上げてきましたが、3%でもNISAの方が最終的な利益は大きいことがわかります。

3 %の運用利回りで、つみたてNISAの20年間の複利が1.80倍になってもまだNISAの年間の拠出金額120万円の大きさには勝てていません。

その③ 運用利回り5%の場合

次に20年間の運用利回りが5 %と想定しましょう。インデックス投資で運用利回りが5 %を達成することは過去のS&P500の成績をみても十分にありえます。

今回は5 %で運用した際の非課税効果について比較します。

つみたてNISA

  • 毎年拠出額:40万円
  • 積立期間: 20年
  • 運用利回り:5 %

計算

  • 元本+運用益合計

$$\small\sum_{k=1}^{n=20}{k = 40\times 1.05^n}$$

  • 非課税運用益=(元本+運用益合計 ) \(-\) 8,000,000 円(元本)
  • 非課税効果 = 非課税運用益 \(\times\) 20.315 %(課税)

結果

  • 元本+運用益合計  13,887,701 円
  • 非課税運用益     5,887,701 円
  • 運用益の非課税効果  1,196,086 円

となります。

次にNISAの場合です。

NISA

  • 毎年拠出額:120万円
  • 積立期間: 20年
  • 運用利回り:5 %

計算

  • 元本+運用益合計=

\(\small15 \times 120 \times 1.05^5\) + \(\small\sum_{k=16}^{n=20}{k = 120\times 1.05^{n-15}}\)

  • 非課税運用益=(元本+運用益合計 ) \(-\) 24,000,000 円(元本)
  • 非課税効果 = 非課税運用益 \(\times\) 20.315 %(課税)

結果

  • 元本+運用益合計  29,935,364 円
  • 非課税運用益     5,935,364 円
  • 運用益の非課税効果  1,205,769 円

となります。

以上から運用利回りが5 %と仮定した時の非課税効果の大きさは

つみたてNISA 1,196,086 円 < NISA 1,205,769 円

となり、3%の運用利回りの時と比べててさらにつみたてNISAが追い上げてきましたが、5%でもNISAの方がギリギリ最終的な利益が大きいことがわかります。

5 %の運用利回りで、つみたてNISAの20年間の複利が2.65倍になってもまだNISAの年間の拠出金額120万円の大きさには若干ですが及びません。

運用利回り5.2%以上でつみたてNISAが有利

では、運用利回りが何%になればつみたてNISAの方が有利になるのか、優劣分岐点を次に検証します。

これまでと同様に計算し、つみたてNISAとNISAを比較すると運用利回りが5.2 %に到達した時に初めてつみたてNISAの複利がNISAの拠出可能額の大きさを上まります。

つみたてNISA

  • 元本+運用益合計  14,211,920 円
  • 非課税運用益     6,211,920 円
  • 運用益の非課税効果  1,261,951 円

NISA

  • 元本+運用益合計  30,196,174 円
  • 非課税運用益     6,196,174 円
  • 運用益の非課税効果  1,258,753 円

となります。

以上から運用利回りが5.2 %と仮定した時の非課税効果の大きさは

つみたてNISA 1,261,951 円 > NISA 1,258,753 円

5.2%の運用利回りで、つみたてNISAの20年間の複利が2.76倍になり、はじめてつみたてNISAの複利がNISAの120万円という拠出可能額の大きさを上回ることができます。

NISAのロールオーバーを利用しない場合の結論

ここまで、投資信託のみを選択する場合つみたてNISAとNISAのどちらが最終的な利益が大きいかを検証してきました。

今回のNISAの最大のメリットの一つであるロールオーバーを封印した場合には

  • 運用利回り5.1 %以下 NISA
  • 運用利回り5.2 %以上 つみたてNISA

となることがわかりました。

過去のS&P 500などの成績から、専門家の見解ではこの先インデックス投資をした場合の運用利回りは堅実に4 %、平均的に6%、良くて8 %前後に到達する可能性もあるのではないかとの指摘もあります。

ここまでの検証から、将来的に運用利回りが5.2 %以上になると想定するならばつみたてNISAの方が成績が良く、つみたてNISAを選択することが一つの考えになるでしょう。

しかし、ここまでの検証においてNISAには制限を課していることを忘れてはいけません

次回の記事「つみたてNISAとNISA、投資信託のみならどっちがオススメ?2」ではNISAのロールオーバーの制限を解除した場合について検証します。

※この記事の執筆者は個人投資家であり、あくまで数値に基づいた個人的見解です。投資に絶対的な正解はありません。その点を踏まえ、自己責任で投資を行ってください。

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