中小企業診断士試験を受験する7つのメリット・デメリット

中小企業診断士の資格を取得するメリットとデメリットについて取り上げます。

中小企業診断士になるメリットとデメリットについては他サイトでも数多く説明されているので、私は医師国家試験や専門医試験などになぞらえて説明してみたいと思います。

医療従事者の方が中小企業診断士の受験を検討される際の参考、またそれ以外の業界の方にとっても異なる視点からの見方として参考になればと思います。

メリットについて

その① 経済リテラシーの向上・知恵の獲得

実務従事していなくても、体型的な知識が得られたことにより経営や経済全般的な分析力の基礎がついたことは間違いありません。

世の中で今何が起きているのか、未来に何が起ころうとしているのかを完全ではないにしても把握・予測する理論を学ぶことができました。

これは、一次試験の7科目である企業経営理論、財務・会計、経済学・経済政策、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策を相互に関連させながら学べることが一因です。

私はこれからですが、さらに実務補修と実務従事でこれらの知識をより高次へ昇華できるのではないかと思います。

というのも、例えば、医療において医師は医師免許取得後に2年間の初期研修医の実働を経て保険医(保険診療ができる医師)に登録することができます。

この期間を通して、医者は試験勉強で学んだ理論と実際の診療のズレ、実際に臨床で知識を使うことで知恵という武器に置き換えることができます。

現時点では憶測ですが、中小企業診断士も今後実務従事を通して、ズレの認知知識を知恵へ置き換えて自分の強みに変換できるのではないかと想定しています。

その② 文章構成力・考察力がつく

2次筆記試験では80分間で、ある企業の与件文(問題文)を読み、4〜6問の設問に対して100次程度の文章で答案を作成します。

この試験の目的については、J-SMECAが以下のように記載しています。

中小企業診断士となるのに必要な応用能力を有するかどうかを判定することを目的とし、中小企業の診断および助言に関する実務の事例並びに助言に関する能力について、短答式又は論文式による筆記及び口述の方法により行います。

令和2年度(2020年度)中小企業診断士第2次試験案内・申込書
https://www.j-smeca.jp/attach/test/r02/r02_2ji_annai.pdf

試験問題を閲覧されたい方はこちらのページの<第2次試験問題>から確認できます。

実際に解答してみると、この試験の質と量に対して80分という時間は絶妙な設定になっています。

問われている設問の真意を解釈し、与件文をSWOT分析などで分析し、そのうえで文字数を意識し、どう論理的に文章を構成するかを問う非常にレベルの高い試験です。

私も普段の診療でカルテを記載する際、医療従事者の方が読みやすい構成を心がけています。

しかし、これは一種の自己満足であり誰かが評価したりするものではありません。

一方で、この試験は実際に読み手の満足度が点数として可視化される試験です。そのため、カルテを丁寧に記載することと雲泥の差があります。

この記事を執筆している今も、この試験で問われた文章力を礎にどう文章を構成するか論理的に考えることができていると思っています。

その③ コミュニティーが広がる

2次筆記試験合格後の口述試験のセミナーでは、既に中小企業診断士試験を合格されている方々がメインでセミナーを開講されています。

感謝してもきれないくらい本当にありがたいセミナーです。

このあたりから「コミュニティーの広がり」を肌身をもって実感しています。

例年、最終的に約1000名のみが合格する試験だからでしょうか。

業界としては、「互助していこう!」という思いやりがあふれる雰囲気を感じています。

医師の世界は閉鎖的なコミュニティーであることが多く、他業種の方と接する機会は多くありません。

そのため、私にとっては貴重な存在になると思います。

自分とはバックグラウンドが大きく異なる方々、ダイバーシティに富んだグループ、中小企業診断士という質の高いコミュニティーは簡単に模倣できるものではありません

その④ 本業との相乗効果・副業の可能性

一般的に、本業と関連性が高いほど中小企業診断士を取得するメリットは大きくなります。

これは掛け合わせて相乗・相補効果が得られるためです。

「医師」との掛け合わせについては一長一短があり、まだ明確にメリットとはいえないかもしれません。

例えば、医療訴訟を専門とした弁護士をしたいという医師であれば弁護士を取得することはこの目的を享受するために必要不可欠です。

これは、医学に精通し、的確に医療の事象を捉えることができる「医師」の強みを活用し、法の下で「弁護士」として独占業務を行えるため大きなシナジーが生じます。

しかし、医師が医者として働くことに加え、医療関連以外の仕事を並行して行うのは難しいでしょう。

なぜなら、フルタイムで医師として働くことだけでも中々にハードなためです。

今回私がチャレンジした中小企業診断士も、今後資格を正式に取得するために実務補修などをさらに受け、そして実際に実務を行いスキルと経験を身につけていく必要があります。

これを可能にするためには、医業の優先順位下げや活動時間を下げる必要があります。

つまり、フリーランス・ドクターのような働き方が不可欠になります。

この働き方が実現できる場合、医師と中小企業診断士というふたつの柱を大きく太くできるのではないか思います。

少子高齢化社会で社会保障費が漸増する日本では、今後医師の診療報酬が削減されていく可能性は極めて高いです。

他業種において、AIによる代替などDX(デジタルトランスフォーメーション)で同じような社会的影響を受ける可能性があるのではないでしょうか。

このような背景の中で、さらに一芸に秀でることは、あなたのポテンシャルを大きく飛躍するものになるかもしれません

デメリットについて

その① 取得に時間がかかる

一般的に中小企業診断士試験に合格するためには独学でおよそ1,000時間が必要とされています。

今は通信制や勉強方法論が改善し広まっていることもありもっと少ない時間で合格までたどりつけると思います。

実際に私が費やした時間は2次口述試験まで合わせて470時間程度です。

1,000時間よりも少ないといえど、医者の専門医試験などでここまで要する試験はありません。(もしある場合は教えてください!)

500〜1,000時間あれば、他に取得したいと思うスキルや資格を取得することも可能です。

もし、好奇心のみでこの試験に挑み、幸い取得しても、中小企業診断士もしくは経営コンサルタントとして活動する予定がなければ大きな時間損失になります。

その② 更新要件がある

医師免許は更新要件がなく、2年に一回の医師届出表を提出すれば更新作業のようなものは終わりです。

一方、中小企業診断士は5年に一度更新を要します。

詳細はトシゾーさんの中小企業診断士資格の更新 I 更新要件、理論研修や実務補修・実務従事、ポイントの記事でわかりやすく解説されています。

更新要件としては、医師の専門医の更新要件に類似しています。

また、更新が厳しそうな際には最長15年間の休止制度もあります。

「な〜んだ」と思うかもしれません。しかし、更新できない際には国家資格の喪失になり、再取得する場合は1次試験からやり直さなければなりません。

補足として、更新要件をデメリットとして扱いましたが、メリットとしての要素も実はあります。

それは資格の質の維持・保証です。

医師免許は資格取得後の更新要件がないため、以前は質の保証を疑問視されてきました。

この質を保証するために出てきたのが更新要件を課す専門医制度です。

中小企業診断士はこのような質を保証する機能を付随しているため、資格として大きな魅力を維持できています。

その③ 名称独占資格であり業務独占資格ではない

業務独占資格とは、その資格を有するものでなければ携わることが禁じられている業務を、独占的に行うことができる資格です。

医師や弁護士などが当てはまります。

反対に名称独占資格は、資格取得者以外のものにその資格の呼称およびそれに類似したり紛らわしい呼称を使用することが禁止されている資格です。

つまり、名称独占資格では資格を保有していなくても業務を行うことができます。現に経営コンサルタントはこの資格が必須ではありません。

なお、国がこの中小企業診断士という資格を業務独占資格ではなく、名称独占資格にしたことについては、私はポジティブに捉えるべく以下のように勝手に解釈しています。

この資格を有する君たちなら他の経営コンサルタントと差別化できて当然でしょ?

ポジティブすぎ!考えが甘すぎて実際には違うんだぞ!と先輩診断士の方々にお叱りを頂戴しそうですが、こう考えるとこの点はスーッと流せるかと思っています。

実際に、この資格を保有され中小企業診断士として活動されている方は差別化できていて、さらに強まるニーズを的確にキャッチできているのではないでしょうか。

少し脱線しましたが、もしも業務独占資格をとりたいとお考えなら見直されることをおすすめします。

あなたは本当に取得すべきか?

ここまでメリット・デメリットについて取り上げてきました。

私が挙げた以外のこともたくさん考えられます。

このように両面を把握したうえで「あなたはこの資格を本当に取得すべきか?」考える必要があります。

  • ただ知識を得たい
  • 興味本位

などの軽い気持ちで始め、万が一諦めた際にはあなたが試験勉強に費やした貴重な時間もお金もサンクコスト(埋没コスト)として一瞬で消え去ります。

それはあなたの人生において最大の損失となります。

しかし、明確な理由や決意がある場合、中小企業診断士を取得することによるこれらのメリットはあなたにとって輝かしい人生の財産になります。

メリットを思う存分享受するために、なぜこの試験を受けるのか理由を見直すことでこのようなデメリットを回避することができます。

私の理由については「なぜ医師の私が経営コンサルの国家資格の中小企業診断士を受験したか」をご参照ください。

この記事が、あなたの中小企業診断士の受験を後押しできれば本望です。

さいごに

今回は中小企業診断士試験を受験するメリット・デメリットについて記載しました。

少しでも多くの方が中小企業診断士を志す一つの参考になれれば幸いです。

今回の記事や、私が実際に行った受験対策やそのフィードバックに関して今後更新する記事を通してさらにサポートできるようにしていきたいと思います。

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